杉並区初の民間薪能。「アートを媒体として人、まち、自然との共存」をテーマに幻想の一夜を区民に提供し、日本の伝統芸能を伝えます。
観る能から触る能へ、そして感じる能に・・・。


杉並区で初めての「民間による薪能」として始まった西荻薪能も、回を重ねるごとに評価が高まり、全国薪能一覧にも席を並べるような規模と内容に育ってきました。
能の世界を生きている若いマエストロたちを迎え、より優れた演者と演目を選び、多くのボランティアに支えられながら、歴史や先行の文学を取り込んで独特な空間を築き上げる能舞台を「私達の薪能」として、地域の人々がみんなで育て、守り、伝えてゆく催事になったことを嬉しく思っています。


毎回リピーターも多く、初めて能に触れる人にとっても、楽しめ感動できる薪能として、地域にも定着してきたように思えます。しかし「楽しめる」薪能に止まらず次のステップへ歩んでいこうと思い「能のワークショップ」を実施しています。
「能のワークショップ」は能を「守り」「伝える」ことが基本です。この「楽しみ」「守り」「伝える」伝統芸能であることで、伝統はその命を継続させて行く事が出来ると考えます。その環境をどのように創っていくか、地域の小中学校やワークショップとの連携も含め、私達はまだまだ大きな課題を抱えながら、歩み続けています。




 西荻薪能2011  
  薪能 金春流能「高砂」
 西荻薪能2010
  薪能 金春流能「葵上」
 西荻薪能2009
  薪能 金春流能「舟弁慶」
 西荻薪能2008
  薪能 金春流能「杜若」
 西荻薪能2007
  薪能 金春流能「鵜飼」
 西荻薪能2006
  狂言「盆山」
  薪能 金春流半能「猩々」
 西荻薪能2005
  薪能 金春流半能「巴」
 
 西荻薪能2004
  薪能 金春流半能「敦盛」
  倭の音
 西荻薪能2003
  薪能 金春流半能「羽衣」
  倭の音
 西荻薪能2002
  薪能 金春流半能「井筒」
 


    ◆ 西荻薪能2011 ◆  

薪の炎、夜風、星空そして大地、本来の能の姿にこだわり、
自然との共存を考えたとき、私たちはこの薪能にたどりつきました、
自然を肌で感じながら、鎮守の杜での幻想の一夜・・・


日 時: 2011年5月7日(土) 午後7時開演
 (午後6時30分開場)
場 所: 井草八幡宮 神楽殿
番 組: 能 「高砂(たかさご)」
シテ 辻井八郎(金春流 座・SQUARE)
主 催: NPO法人 西荻まちメディア
共 賛: 金春流 座・SQUARE
協 賛: 井草八幡宮
後 援: 杉並区
杉並区文化協会
杉並区教育委員会
杉並区交流協会
西荻窪商店会連合会 他
協 力: ユネスコ杉並 杉並区立桃井第四小学校 関東バス
能ワークショッププロジェクト 他
助 成: すぎなみ文化芸術活動助成基金助成事業








高 砂たかさご

 作 者/世阿弥

肥後国(熊本県)、阿蘇宮の神主・友成は、従者を連れて都見物の旅に出ます。途中、播州高砂に立ち寄り、浦の美しい景色を眺めていると、竹の杷(熊手)を持った老翁と杉箒を持った老婆がやって来て、松の木陰を掃き清めます。友成は、有名な高砂の松はどれなのか、高砂の松と住吉の松とは遠く離れているのに、なぜ相生の松と呼ばれているのかと、尋ねます。老翁は、この松こそ高砂の松だと答え、たとえ遠く離れていても夫婦のなかは心が通うものだ、現にこの姥はここ高砂の者、私は住吉の者だと言います。そして、老夫婦は、相生の松が万葉古今で歌枕に詠まれていることなど、さまざまな故事をひいて松のめでたさを語ります。やがてわれわれは、実は相生の松の精であることをあかし、住吉でお待ちしていると、小舟に乗って沖の方へ消えてゆきます。
友成は、土地の者に、再び相生の松のことを尋ね、先程の老夫婦の話をします。すると、それは奇特なことだから、早速自分の新造の舟に乗って住吉へ行くことを勧められます。そこで、友成たちも高砂の浦から舟で住吉へ急ぎます。住吉へ着くと、残雪が月光に映える頃、住吉明神が出現し、千秋万歳を祝って颯爽と舞います。



金春流 座・SQUARE
一九九八年に金春流の若手能楽師四人(高橋忍・辻井八郎・山井綱雄・井上貴覚)が「能」という伝統芸術を新しい時代に伝えてゆくために結成したユニット。SQUAREには「四角」という意味があり、彼らの上る舞台がまさしく三間四方の正方形で、その四角い舞台を土台にして、若手四人が金春流を、さらには「能」を支える四本柱になろうという熱い思いで名付けられた。また、「広場」という意味もあり、いろいろな人が集まり、自由に過ごすことができる心の広場を「能」を通じて作ってゆきたい、より多くの人に「能」を見て欲しい、そして観客とともに自分達もいっしょに成長してゆきたいというコンセプトで活動し現在に至る。
年一回の自主公演の他、能楽講座や様々な形での演能を行い、世代を超えて高い評価を受けている。2002年5月NPO法人西荻まちメディアと共催で杉並区では初めての民間レベルの薪能を実施し各界で話題を集める。



◆ 西荻薪能2010 ◆


日 時: 2010年5月8日(土) 午後7時開演
 (午後6時30分開場)
場 所: 井草八幡宮 神楽殿
番 組: 能 「葵上(あおいのうえ)」
シテ 辻井八郎(金春流 座・SQUARE)
主 催: NPO法人 西荻まちメディア
共 賛: 金春流 座・SQUARE
協 賛: 井草八幡宮
後 援: 杉並区
杉並区教育委員会
杉並区文化協会
杉並区交流協会
西荻窪商店会連合会
新町商栄会 他
協 力: ユネスコ杉並 杉並区立桃井第四小学校 関東バス
能ワークショッププロジェクト 他






葵 上あおいのうえ

 作 者/世阿弥 (改作)
 典 拠/『源氏物語』

 左大臣の邸内、光源氏の正室の葵上が 物怪(もののけ) に取り付かれて、病床に臥しています。祈祷や医療をほどこしても効き目がありません。そこで (あずさ) の法を用いる 照日(てるひ)巫女(みこ) が召されます。巫女の使う梓の弓の音にひかれて現れたのは、光源氏の愛人であった六条 御息所(みやすどころ) の怨霊です。御息所は源氏の愛を失った悲しみを涙ながらに語ります。さらに高貴な女性のプライドゆえの屈折した恋の妬みは頂点に達し、葵上を破れ車に乗せて連れ去ろうとして、姿を消します。
 大変な事態に臣下は 横川(よかわ)小聖(こひじり) という 行者(ぎょうじゃ) を呼んで、加持祈祷をさせます。御息所の怨霊は悪鬼の姿と化して再び現れ、葵上に襲いかかろうとし、行者の激しい応酬にあいます。数珠をすり合わせて祈祷する行者の声に、迷いから救われた御息所の怨霊は心安らかに成仏します。






    ◆ 西荻薪能2009 ◆  


日 時: 2009年5月9日(土) 午後7時開演
 (午後6時30分開場)
場 所: 井草八幡宮 神楽殿
番 組: 能 「舟弁慶(ふなべんけい)」
シテ 辻井八郎(金春流 座・SQUARE)
主 催: NPO法人 西荻まちメディア
共 賛: 金春流 座・SQUARE
協 賛: 井草八幡宮
後 援: 杉並区 杉並区文化協会
杉並区教育委員会
杉並区文化交流協会
西荻窪商店会連合会 新町商栄会 他
協 力: ユネスコ杉並 杉並区立桃井第四小学校 関東バス 東京女子大学
能ワークショッププロジェクト 他





舟弁慶ふなべんけい

恋人同士の別れの場面の前場、怨霊との戦いの後場の二部構成。
平家追討に功績たてた源義経であったが、戦いが終わると兄の頼朝に疑惑を持たれて鎌倉から追われる身となった。義経は武蔵坊弁慶などといっしょに西国に逃れようと摂津の国(今の兵庫県)の大物浦に辿り着きます。同行していた静御前に弁慶は「都に戻るように」と諭します。悲しむ静御前は、なごりの酒宴で別れの舞を舞います。
出発をためらう義経をうながし、弁慶は船頭に出航を命じます。海上にでると突然に風がかわり舟に波が押し寄せてきます。すると波のうえに滅亡した平家一門の亡霊が現れます。壮絶な最期を遂げた平知盛は長刀を振りかざして義経に襲い掛かります。
弁慶は数珠をもみ、五大尊明王に祈祷します。知盛の霊は抵抗しますがやがて引き潮の流れに消えていきます。



◇  ◇  ◇

《 灯 明 》


今年も桃井第四小学校生徒の作った100基の灯明が参道を照らしました。



  ◆ 西荻薪能2008 ◆  

日 時: 2008年5月31日(土) 午後7時開演
 (午後6時30分開場)
場 所: 井草八幡宮 神楽殿
番 組: 能 「杜若(かきつばた)」
シテ 辻井八郎(金春流 座・SQUARE)
主 催: NPO法人 西荻まちメディア
共 賛: 金春流 座・SQUARE
協 賛: 井草八幡宮
後 援: 杉並区 杉並区文化協会
杉並区教育委員会
西荻窪商店会連合会 新町商栄会
協 力: ユネスコ杉並 杉並区立桃井第四小学校 関東バス 東京女子大学
能ワークショッププロジェクト 他
助 成: 『杉並区文化協会による「すぎなみ文化芸術活動助成基金助成対象事業」』





< 西荻薪能番組 >

解説 井上貴覚
杜 若シテ辻井八郎
ワキ野口敦弘大鼓佃 良太郎太鼓桜井 均
小鼓鵜澤洋太郎栗林 祐輔
後見井上貴覚地謡岩田幸雄山井綱雄
金春憲和芝野善次高橋 忍
漆野建一中村昌弘
附祝言



杜 若かきつばた

 分 類/三番目物(鬘物)
 作 者/金春禅竹
 主人公/シテ里の女(杜若の精の化身)

旅僧が都から東国へと赴き、三河国(愛知県)にやって来ます。そこは杜若の花が今を盛りと咲き誇っているので、 僧が花に見とれていると、一人の里の女がやって来ます。そして、ここは八橋という古歌にも詠まれた杜若の名所だと 教え、在原業行が「かきつばた」の五文字を各句の頭において、「唐衣 着つつ馴れにし 妻しあれば はるばる 来ぬる 旅をしぞ思ふ」と詠んだ事を語り、杜若は業行の形見の花だと偲びます。 その上、僧を自分の庵に案内します。やがて、初冠と唐衣を着て現れるので、僧が驚いて尋ねると自分は杜若の精 であると明かします。そして、伊勢物語に描かれた業行の数々の物語や、業行が歌舞菩薩の生まれ変わりである事 などを語り、舞をまい、草木も成仏できることを喜びつつ消えて行きます。



◇  ◇  ◇

《 灯 明 》

桃井第四小学校5年生100名による灯明製作は今年も多くの人々の目を楽しませました。



  ◆ 西荻薪能2007 ◆


日 時: 2007年6月2日(土) 午後7時開演
 (午後6時30分開場)
場 所: 井草八幡宮 神楽殿
番 組: 能 「鵜飼(うかい)」
シテ 辻井八郎(金春流 座・SQUARE)
主 催: NPO法人 西荻まちメディア
共 賛: 金春流 座・SQUARE
協 賛: 井草八幡宮
後 援: 杉並区 杉並区文化協会
杉並区教育委員会
西荻窪商店会連合会 新町商栄会
協 力: ユネスコ杉並 桃井第四小学校 関東バス 東京女子大学
能ワークショッププロジェクト 他
助 成: 杉並区文化協会による(すぎなみ文化芸術活動助成基金) 助成事案


山伏のホラ貝の重厚な響きが静まり返った会場に鳴り渡り、薪能が始まりました。



〜 番 組 〜

解説 井上貴覚
お祓いの儀式
鵜 飼シテ辻井八郎
ワキ森 常好大鼓佃 良太郎大鼓梶谷英樹
小鼓鵜澤洋太郎小野寺竜一
ワキツレ 舘田善博
大藏千太郎
後見井上貴覚地謡岩田幸雄山井綱雄
金春憲和芝野善次高橋 忍
漆野建一中村昌弘
附祝言



鵜 飼うかい

安房の国(千葉県)の清澄の僧が、甲斐の国(山梨県)への行脚を志し、途中、 石和川のほとりにつきます。
その土地の人に、一夜の宿を頼みますが、 旅の者に宿を貸すことは禁制だと断られます。
その代わり、川辺の御堂を教えられ、そこに泊まることにします。
すると、そこに一人の老人が鵜を休めるために立ち寄ります。
僧が、老人なのにいつまでも殺生するのはやめて、他の職業に就いたらと意見すると 老人は、自分は若いときからこの仕事で生計を立ててきたので、いまさらやめるわけにもいかないと答えます。
従僧が、2,3年前この地を訪れたとき、このような老人に会い、もてなしを受けたと話すと、 老人はその鵜使いは禁猟を犯したため殺されたと語り、 実は、自分がその亡霊だと明かします。
僧の勧めで亡者は罪業消滅のため、鵜飼の様を見せて消えていきます。

僧たちはやってきた先刻の土地の者からも、 密漁をして殺された男の話をきき、 先ほどの老人こそ鵜使いの化身であったと信じ、 法華経の文句を川辺の石に一字ずつ書いて川に沈めて回向します。
すると、地獄の鬼が現れて、かの鵜使いは地獄は堕ちるはずであったが、生前、僧を接待した功徳と、 法華経の効力によって救われ、極楽へ送ることになったと告げ、法華経のありがたさをたたえます。



◇  ◇  ◇

昨年、とても好評だった薪能会場の灯明。今年も桃井第四小学校5年生の作った灯明が会場を飾りました。

5年 西荻薪能 灯明づくり
薪能の会場を小学生の作品で飾れませんか・・・その様な嬉しいお誘いをNPO西荻まちメディアの薪能担当の方よりいただいたのは3年前、薪能をお手伝いしていた時のことだったと思います。私は光を使った造形活動を考えていましたので早速次の年より参加をお願いしました。


灯明はシンプルな材料と小さな光でできています。その主材料は桃四小にて年間数回あるお弁当給食の際に使用した割り箸を洗浄し乾燥保存したリサイクル材です。子どもたちは割り箸の組み合わせを試行錯誤しながら自分の思いを形にしていきました。

薪能当日、子どもたちの灯明はPTAをはじめ多くのボランティアの助けを借り薪能の会場に素敵な空間をつくりました。このことは狭い図工室で想像していた以上に豊かな造形体験として子どもたちの心に残ったものと思います。


また今年は展示作業後スタッフとして薪能を鑑賞させていただき、多くの観客が自分達の灯明を喜んでくれる様子を目の当たりにしたことで、大満足。どの子どもたちもニコニコ顔でした。


桃四小の[総合的な学習の時間]の5年生の学年テーマは「伝統・文化」です。灯明づくりの西荻薪能の活動に参加したことを出会いとして学習がスタートしていきます。学習を通し自分達の住む街の豊かさ、それを愛し支えるたくさんの人の存在。人と人とのつながりとそこに関わっている自分を感じ、多くを学んでいってくれることを願っています。
(桃井第四小学校 本永先生)
桃四小: 杉並区立桃井第四小学校

灯明の明かりに誘われるように、たくさんの人が薪能の会場へ


◆ 西荻薪能2006 ◆

日 時: 平成18年5月20日 午後7時開演
 (午後6時30分開場)
場 所: 井草八幡宮・神楽殿
番 組: 狂言「盆山」シテ 大藏基誠(大蔵流)
能「猩々」シテ 辻井八郎(金春流 座・SQUARE)
主 催: NPO法人 西荻まちメディア
共 催: 金春流 座・SQUARE 井草八幡宮
後 援: 杉並区 杉並区教育委員会
杉並区文化・交流協会
西荻窪商店会連合会 新町商栄会
協 力: 桃井第四小学校 杉並ユネスコ 東京女子大学
能ワークショッププロジェクト 関東バス 他


〜 番 組 〜
解説井上貴覚
 
狂言盆 山シテ大藏基誠アド大藏教義後見榎本 元
 
猩 々シテ辻井八郎
ワキ野口能弘大鼓安福光雄大鼓梶谷英樹
小鼓鵜澤洋太郎栗林祐輔
後見井上貴覚地謡芝野善次山井綱雄
中村昌弘高橋 忍
岩田幸雄金春憲和



猩 々しょうじょう
作者/不明
中国の金山の麓の揚子の里に住む高風は、親孝行の徳からか、夢のお告げによって市場で酒を売り金持ちになりました。
また、不思議なことにいつも必ずやってきて酒を飲んでいく童子のような客がいるのですが、いくら飲んでも顔の色が一向に変わりません。
客の名を尋ねると男は「海中に住む猩々だ」と答えて海の中に消えました。
高風は菊の酒を湛えた酒壷を用意し、じん陽の江のほとりで猩々の出現を待ちます。
すると猩々が海面に浮かび上がり酒盛りに酔いながら舞を舞います。
やがていくら飲んでも酒の尽きることが無い不思議な泉の壷を高風に与えて酔い伏します。
高風は目を覚まし今まで夢を見ていたことに気づくのですが泉の壷は現実にそばにあります。
壷のお陰で高風の家は栄え続けました。



後場(のちば)だけを上演する「半能」形式の曲です。
「猩々」として上演されるより、小書のついた「猩々乱」「乱」として舞われることが多い。
乱れ特有の囃子により、シテは波を蹴るような「乱レ足」で舞う。


◆ 西荻薪能2005 ◆


日 時: 平成17年5月14日 午後7時開演
 (午後6時30分開場)
場 所: 井草八幡宮・神楽殿
演 目: 薪能 金春流半能「巴」
シ テ: 辻井八郎(金春流 座・SQUARE)
主 催: NPO法人 西荻まちメディア
共 催: 金春流 座・SQUARE 杉並区文化・交流協会
後 援: 杉並区 杉並区教育委員会
西荻窪商店会連合会 新町商栄会
協 力: 井草八幡宮 杉並ユネスコ
桃井第四小学校 関東バス 他



〜 西荻薪能番組 〜

仕舞加茂
 胡蝶
 鵜ノ段
井上貴覚
山井綱雄
高橋 忍
解説井上貴覚
シテ辻井八郎
半能ワキ野口能弘大鼓安福光雄栗林祐輔
小鼓鳥山直也
後見井上貴覚地謡芝野善次山井綱雄
中村昌弘高橋 忍
岩田幸雄金春憲和


木曾の山里より都をめざす旅僧たちが、近江の国(滋賀県)の栗津の原で休んでいると、涙を流している一人の里女とであう。 女は僧が木曾の者と知ると「ここは木曾義仲ゆかりの地であり、義仲が神として祀られているところ。義仲の霊を慰めて欲しい」と言う。 そして「自分も亡者だ」と告げて草陰に姿を消す。僧が亡き人の跡を弔っていると、さきほどの女が武者姿となって再び現れる。 女は巴と名乗り、義仲の最後の様子や、長刀をかざして自分の戦闘の姿を表す。深手を負って自害した義仲に、 女ということで行動を共に出来なかった巴は、一人で生き延びたことを悔やみ、栗津の原にあって、 今なお成仏できずに苦しんでいた。 巴は僧に回向を願うのである。

  




◆ 西荻薪能2004 ◆

日 時: 平成16年5月15日 午後7時開演
 (午後6時30分開場)
場 所: 井草八幡宮・神楽殿 (東京都杉並区)
演 目: 金春流半能「敦盛」
シ テ: 辻井八郎(金春流)
賛助金: 1,500円 (事前振込制)
主 催: NPO法人西荻まちメディア
共 催: 金春流 (座・SQUARE) 杉並区文化・交流協会
後 援: 杉並区 杉並区教育委員会
西荻窪商店会連合会 新町商栄会
協 力: 井草八幡宮 桃井第四小学校
ユネスコ杉並 東京女子大学


〜 西荻薪能番組 〜

シテ 辻井八郎
半能 敦盛ワキ野口能弘大鼓安福光雄八反田智子
小鼓鵜澤洋太郎
後見井上貴覚地謡中村昌弘山井綱雄
本田布由樹高橋 忍
岩田幸雄本田芳樹

敦盛
摂津の国(現在の兵庫県)一の谷の合戦で平家の公達平敦盛を討った熊谷次朗直実は、若い敦盛に手をかけたことを痛ましく思い、武士を捨て出家し蓮生法師と名乗った。そして、敦盛の菩提を弔うために一の谷に行くと、数人の草刈男と出会う。その中の笛を吹く若者が自分は敦盛の霊であると仄めかして消え失せた。蓮生が終夜読経回向していると、その夜の夢に敦盛の霊が現れ、平家の没落、都落ちの末路を語り、合戦の前夜には今様をうたい、舞い遊んだことを話し、その時を偲ぶように舞を舞う。 合戦で直実に討たれたのは、船に乗り遅れたためと最後の様を後悔し、仇を討とうとするが、「自分を弔ってくれる蓮生はもはや敵ではない」と、共に極楽往生の出来ることを感謝してたち去る。



◆ 倭の音(ね) ◆

− 日本文化の古典と近代を観る −

日 時: 平成16年5月8日(土) 午後3時開演
 (午後2時30分開場)
場 所: 西荻地域区民センターホール (東京都杉並区)
賛助金: 1,500円
主 催: NPO西荻まちメディア
共 催: 杉並区文化・交流協会
ユネスコ杉並
金春流 (座・SQUARE)
後 援: 杉並区 
杉並区教育委員会
協 力: 西荻地域集会施設運営協議会
杉並区勤労福祉協会、他


辻井八郎 [金春流]
磯貝真紀愛知県出身。5歳より箏曲を倉内里仁氏に師事。
 高崎芸術短期大学専攻科修了後、沢井忠夫・一惠両氏の内弟子となる。
 テレビ・ラジオ出演多数。
 Kokoo CD「moon」、箏衛門CD「箏衛門」リリース。
 (株)ナムコのゲーム「太鼓の達人」レコーディング参加。
野口貴子東京都出身。6歳より生田流箏曲を学ぶ。
 沢井一惠氏に師事。国際芸術連盟第5回JILA音楽コンクール、邦楽部門第2位。
 NHK邦楽オーディションにソロ合格。沢井箏曲院教師試験において優秀賞受賞。
 NHK邦楽技能者育成会卒業。
 沢井箏曲院教師。タカハシミュージックプラザ教師。
みると: オカリナ奏者
 13歳よりオカリナを始める。
 独学で練習、研究を重ね、オカリナにJAZZ、フュージョン、ボサノバを取り入れつつも、
 ジャンルにとらわれない、オリジナルサウンドを確立する。
 2004年2月には、ピアニスト兼ギタリストの松井玲央とともに待望の初アルバム
 「The Tigrls」をリリース。
司会: すぎもとまさこ(プロ)
プロデュース: 松田充博

<演奏曲>
 「イリュージョン」
 「みだれ」
 「ルパン三世」
 「世界に一つだけの花」


◆ 西荻薪能2003 ◆

日 時: 平成15年5月25日 午後7時開演
 (午後6時30分開場)
場 所: 井草八幡宮・神楽殿 (東京都杉並区)
演 目: 薪能「羽衣」
シ テ: 辻井八郎(金春流)
賛助金: 1,500円 (事前振込制)
主 催: NPO西荻まちメディア
共 催: 金春流 (座・SQUARE) 杉並区文化・交流協会
後 援: ユネスコ杉並 杉並区 杉並区教育委員会
協 力: 井草八幡宮 東京女子大学 武蔵野美術大学

※  今回、東京女子大学 武蔵野美術大学 ユネスコ杉並 より30名の学生ボランティアが会場設営や自転車整理、誘導等に参加し、 それぞれのパートで大活躍。 伝統文化をただ提供するだけでなく、次の世代を担う若者と一緒に作りながら伝えてゆく喜びを感じることが出来た2003薪能でした。 次回2004も多数のボランティアスタッフの皆さんの参加をお待ちしています。



〜 西荻薪能番組 〜

シテ 辻井八郎
 羽衣ワキ野口能弘大鼓安福光雄大鼓大川典良
小鼓鵜澤洋太郎田中義和
後見井上貴覚地謡高橋 忍山井綱雄
金春憲和中村昌弘
芝野善次岩田幸雄

羽衣
駿河の国・三保の松原の漁師・伯龍は、ある雨上がりの日、浜の松の枝に掛けてある美しい羽衣を見つけ取って帰ろうとした。
天女が現れて返して欲しいと哀願するが、伯龍は国の宝にしようと持って逃げる。しかし、天女の嘆きを憐れんだ伯龍は、伝え聞く天人の舞楽を見せてくれる条件で衣を天女に返す。
喜ぶ天女は優雅に舞いつつ昇天してゆく。



◆ 倭の音(ね) ◆

− 日本文化の古典と近代を観る −

日 時: 平成15年5月3日(土・祝) 午後4時開演
 (午後3時30分開場)
場 所: 西荻地域区民センターホール (東京都杉並区)
賛助金: 1,500円
主 催: NPO西荻まちメディア
共 催: 金春流 (座・SQUARE) 
ユネスコ杉並
杉並区文化・交流協会
後 援: 杉並区 
杉並区教育委員会
協 力: 沢井箏曲院

5月25日の西荻薪能、事前ワークショップとして実施
 「羽衣」の事前説明、能の所作や謡の発声についてのワークショップを通して、500年もの歴史をもつ「能」と、 大正時代にあらわれた「17弦琴」とのコラボレーションに、日本の古典と近代を観る

辻井八郎 [金春流]
磯貝真紀愛知県出身。5歳より箏曲を倉内里仁氏に師事。
 高崎芸術短期大学専攻科修了後、沢井忠夫・一惠両氏の内弟子となる。
 テレビ・ラジオ出演多数。
 Kokoo CD「moon」、箏衛門CD「箏衛門」リリース。
大野雅子杉並区在中。沢井一惠氏に師事。
 沢井箏曲院合奏ゼミナール修了。現代邦楽研究所研究科卒。
 民音公演、サントリーホール、オーチャード、オペラシティなど出演多数。
 現在、海外洋楽メンバーとのセッション、小・中学生との学校コンサートなどを行って
 いる。
カーティス・パターソン: 米国シカゴ出身。
 コーネル大学在学中に箏に出会い、1986年に来日。沢井忠夫・一惠両氏に師事。
 外国人として初めてNHK邦楽技能者育成会を卒業。
 箏衛門CD「箏衛門」、2002年にソロアルバム「音の輪」をリリース。
司会: すぎもとまさこ(プロ)
プロデュース: 松田充博

<演奏曲>
 「めぐりめぐる」 沢井忠夫
 「千鳥の曲」 吉沢検校
 「さくらさくら」 編曲 沢井忠夫
 「氷華」 沢井比河流

   



◆ 西荻薪能2002 ◆

日時:平成14年5月18日
    午後7時開演(午後6時30分開場)
場所:井草八幡宮・神楽殿(東京都杉並区)
演目:半能「井筒」
シテ:辻井八郎(金春流)
賛助金:1,000円
後援:杉並区 杉並区教育委員会 
    杉並区文化・交流協会



〜 西荻薪能番組 〜

シテ 辻井八郎
半能 井 筒ワキ舘田善博大鼓柿原光博田中義和
小鼓鵜澤洋太郎
後見井上貴覚地謡本田布由樹山井綱雄
金春憲和高橋 忍
中村昌弘本田芳樹

井筒
井筒は伊勢物語に題材を得ている。旅僧(ワキ)は、ある秋の夕暮、在原業平の邸跡の在原寺という所へさしかかる。すると、そこへ美しい女(シテ)が現れる。業平の墓に花をたむける、曰くありげな様子を見て、坊さんは不審をおこすが、女は名を秘して語らない。荒れはてた庭の面にたたずみ、昔を懐かしみつつ何かと言葉を交わすうち、女は問わず語りに業平の昔話を、まるで自分のことのように語り始めた。女はその昔「井筒の女」とよばれた業平の恋人で、名のったとたんその姿は、井戸の蔭に吸い込まれるように消え失せた。不思議なこともあるものだと、坊さんは苔の上に衣を敷いて横になったが、夜も深更とおぼしき頃に、さっきの女と覚しきものが、男の姿で現れ、業平の恋を語りつ舞いはじめたが、やがて暁を知らせる鐘とともに、その夢のような姿は、花がくずれるように消え去り、あと にはただそこはかとない香りが松吹く風にただようのを聞くのみであった。

  日本の伝統文化を若い世代に伝え、鎮守の森で本来の能の姿にどこまでもこだわりながら、
  自然との共存を考えたとき、私達はこの地で実施する西荻薪能にたどりつきました。


 ◆ 青少年育成のための能に関する日本伝統文化継承プログラムを検討中。
   詳細はホームページでお知らせします。



  NPO法人西荻まちメディア・西荻薪能部会では倭の音と西荻薪能の実施日に、たくさんのボランティアスタッフを募集しています。みなさんの力をぜひ貸してください。


部会責任者:NPO法人西荻まちメディア(小笹恭子)
  催:金春流 座・SQUARE
  賛:井草八幡宮 (杉並区善福寺)
  力:ユネスコ杉並 桃井第四小学校 能ワークショッププロジェクト
  先:info@npo-machimedia.org
Copyright 2006-2011 Nishiogi TakigiNoh Bukai - Allright Reserved.